4024人が本棚に入れています
本棚に追加
/755ページ
部屋の電話を使用して、内線に掛ける。
ご用命はってヤツだな。
おそらくは、フロントだろうな。
しばらく鳴って…
んっ?
転送?
『はい、どなた?』
あや、女将さん。
「僕です。
矢鷹です」
俺が告げると、考え込まれた。
なんぞっ?
もう一回、今度は名前で…
「あの~
龍秀ですけど…」
名前を告げてみる。
『ああっ!
リュシュ君?
風邪でも引いたのかい?
声が変だわよ?』
あらっ?
声まで変わったのか?
俺?
「いや、風邪じゃ無いんですが…
ちょっと困った事が起こりましてね。
旦那さん、お願い出来ます?」
本当は、ちょっとどころの騒ぎでは無いんだけどね。
『旦那ねぇ』
何か、困った様に告げる、女将さん。
『あの人は、朝食の準備中でね。
私も、食堂の準備中なのよ。
急ぎかしら?』
どうしよう?
急ぎと言えば、急ぎだ。
今日は、リーラと出掛ける約束だしな。
バスローブで、かつ裸足。
しかも下着無し…
変態スタイルでのお出掛け…
ありか?
無いわぁ~w
うん、こりゃ、急ぎだね。
超特急、いや、新幹線…超光速だぁ~ねっ。
そういや、新幹線ってぇのに、一度乗ってみたいな。
この国には、有ったと聞いたが…
っと、そんな事よりだ。
「済みません。
かなり急ぐんですけど…」
告げると…
女将さんが溜め息を吐いて告げる。
『仕方ないねぇ。
今、行くから』
え"っ!!
女将さんが!
「ちょっと、待って!
旦那さんは!」
そりゃ、旦那さんは朝食の準備中だろうけどさぁ…
この変態スタイルで、女将さんと会う訳には…
『どうしたのさ?
私じゃ拙いのかい?』
うん、拙いです。
仕方ない。
素直に告げるか。
信じて貰えるかは分からんが…
『実はですね。
下着を含めた服が、全部ダメになりまして…』
女将さん、絶句。
『水にでも濡らしたのかい?
じゃぁ、代わりを…』
「違うんです!」
『えっ!』
「信じて貰えないかもしれないですけど…
急に背丈が伸びちゃったんですよっ!」
女将さん、沈黙。
『朝から、ユーモアあるわね、リュシュ君』
って、信じてくんないかぁ…
ですよねぇ。
最初のコメントを投稿しよう!