流転2

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安酒の匂い漂う酒保。 酔えて、鱈腹呑めれば良いと言う連中が多い。 だが… 何処の世界にもインテリは居る訳で… 「君達、ちょっと黙りたまえ」 いや、何でアンタ、偉そうなのw だが… 「おい、インテリが反応したぞ!」 「あれって…  凄いのか?」 「アホ、あのインテリが反応したんだぞっ!  凄いに決まってるだろ!」 ざわめく酒保。 って…あだ名が、インテリってwww 「コレは、期待出来るわねぇ」 嬉しそうな、お姉さま。 どゆこと? 不思議そうに見ると、応えて下さる、お姉さま。 お優しい。 「彼の名は、シュトライザ・ベルデンガーナ。  ベルデンガーナ国の元貴族ね。  貴族が嫌で、国を出奔した変わり種ね。  元貴族様だけあって、その知識は豊富なの。  で、付いたあだ名が、インテリね。  普段は温和しいんだけど…  珍しい物を見ると、興奮して語り出すのよ。  特に、美味しい物には敏感ね。  あっ!  いよいよね」 何ぞ、その、雑学王w 暫く酒瓶を、舐めるように見ていたインテリ君。 おもむろに、蘊蓄を語り始めた。 「これは、シュパング酒。  それには、間違い無い。  一つは…  名酒[瞬殺、鬼神]  余りの強さに鬼神をも瞬殺すると言われている。  酒は度数が高い方が旨い。  そう言われるが…  私は旨味がある酒が好きだ。  そう言う意味では、シュパング酒は良い。  その中で最も度数が高いコレは、度数が高い酒を呑み慣れている者向きだろう。  次に、[天女の羽衣]  これは、口当たりの優しい、たおやかな酒だな。  女性に好まれるであろう。  そして、最後だが…  これが凄い!  古酒[龍気の雫]  シュパング酒は熟成酒では無い。  造った年に出荷する酒だ。  だが、この酒は違う!  寝かせて熟成させてからの出荷だな。  これは、七年物。  しかも、圧を掛けずに、自然に滴る液を集めた酒。  元が雑味が無い上に熟成…  これは、余程の技量を持った杜氏でないと造りだせまい。  良く味わって呑む事だ。  では私は、[龍気の雫]を頂こう」 ちゃっかりグラスへ注いでいる、インテリ。 何ぞ、コイツぅw
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