流転2

63/64
4024人が本棚に入れています
本棚に追加
/755ページ
「あんなに素晴らしい酒が、かね?」 絶句状態っすねw 「今のシュパングは、大不況時代でねぇ」 思わず、溜め息。 「裕福なヤツらや、農家、漁師、酪農家は安泰かな。  食を守る為に、国が保護政策を行ってっし。  ただ、新たになるのは、国の許可が必要でね。  跡継ぎで無い限り、厳しい審査をパスしないとなれないんだよ」 「はぁ?  農家とかがね?」 驚く、インテリ君。 「ああ、人気あんだぜ。  固定給が支払われるからな。  しかもだ。  指定量の品を納めたら、後は売ろうが自分達の物にしようが自由。  それも、良い品ならば、定給へ上乗せ有りだとさ。  キツい労働は全てゴーレムが行う。  病気や雑草、虫は、転移装置が全て除去。  受粉や収穫までも転移装置だな。  基本、楽して金が得られる職業なんだよ。 そら、人気出るわな」 此方側では考えられない暮らし… それが、シュパングであるようだ。 「労働はゴーレムでこと足りるだろ?  そうなると、商売が一番ってな。  国からも、開店に対する補助金も出るから、素人が手を出す訳よ、これが」 それを聞き、感心するようなインテリ。 アホか? 「あんなぁ、分かってる?  素人が商売始めんだぜ。  上手くいく方が稀なんだよ。  だから、倒産する店が多い訳だ。  借金地獄で自殺するヤツまで出てな。  社会問題さ。  まぁ叔父さんは、それで流れた品をちゃっかり仕入れて売ってんだけどな。  コレも、素人が手を出すとコトだ。  偽物や劣化品なんぞを掴まされてみろ、即大損。  首を括るハメになるからな。  ある程度の目利きは必要なんだよ。  素人が勉強も経験も無く手を出す…  俺からしたら、阿呆だ、阿呆」 告げたら、深刻顔の2人。 ほーんと、シュパングのお偉いさん方、なんとかしてくれよな。 卒業までには頼んますよ、本当に… 俺、切実。
/755ページ

最初のコメントを投稿しよう!