流転2

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「会社員なんてのも、今では高嶺の花なんだぜ」 俺が告げると、更に目を剥く、お2人さん。 ほーんと、分かってないなぁ~ 「人件費が、一番高いのっ!  単純労働はゴーレムで十分。  ある程度の思考が必要な作業も、最新AI搭載のゴーレムやマシーン様がこなすんだよ。  今に経営までやり始めんじゃね」 安泰はオーナー様方だけ… そうなると、自分で商売? 海千山千のライバル相手にか? 無理だ無理。 医療現場にも、今やゴーレムが侵食。 古参の看護士以外は消えつつある。 生き残るのは、カウンセラー。 流石にゴーレムでは無理。 だが…医者不足から、ゴーレム医が開発中とか… 人の働く場… それが着実に消えつつあるんだよ。 「効率化社会の悪影響なのね…」 半ばボーゼンのお姉さま。 肉体労働でも、繊細な作業には人が使われる。 力は強いが、少し繊細さに欠けるのでな。 骨董品なんぞや美術品は任せられない。 叔父さんの店みたいに、流れ品の扱いもな。 運送中に壊れたなんてぇのは、洒落にならんからな。 だが… 技術は日進月歩。 いずれは、対応出来るゴーレムが現れるだろう。 数多の就職難民を抱えたシュパングよ… どんな未来が待っているのかねぇ。 俺も、人事では無い。 いや、オヤジだって、何時肩叩きがあるか… そう零すコトもな。 お袋のパートはデザイナー。 コイツはAIでは無理。 だが、作業にはAI機器は欠かせないらしい。 つまり、人を雇って行っていた事が、今では奪われている訳だ。 その事を告げると… インテリ君が蒼くなって席を立った。 なんぞ? 「彼の国では、シュパング産ゴーレム導入が検討されているらしいわね」 ああ、だから国へ今の話をねぇ… 「この国は雇用を脅かすからって、導入を拒否してるわ。  色々大変みたいだけど…失業者はシュパングよりマシみたいね」 流石は先見の明がある指導者様だな。 阿呆なシュパング政治家とは違う訳だ。 そんな話の後で、俺は酒保を後に… 楽しい旅行… 帰ってからが大変だな、こりゃ。
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