おじさん

第1章

父の部署が売り上げを大幅に伸ばしたと言うので、父の部署は特別ボーナスで某テーマパークへの１泊２日旅行がプレゼントされた。

もちろん家族同伴で・・・。

私は憧れのテーマ・パークへ行ける事が嬉しくて嬉しくて仕方が無かった。

残念な事に両親は、祖母の具合が悪いという事で見舞いに・・・兄と姉も模試の日程が重なってしまい、参加できるのは私だけになってしまった。

それでも目一杯おめかしして、ツアーのバスに乗った時・・・参加者の中に八雲さんの姿を見つけた時はがっかりした。

陰気でおどおどしている八雲さんの姿が、最近の私にはなぜか腹立たしかった・・・。

楽しいテーマ・パークに釣り合わない男性にしか見えなかった。

他の若い社員さん達は彼女さんとか連れてきているのに・・・。

私は八雲さんからなるべく遠い席に腰かけて、他の若い社員さん達や、同世代の子供達と話をしながら努めて八雲さんを頭の中から追っ払う事にした。