17人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・遼子ちゃん・・・遼子ちゃん・・・。」
誰かが私の名前を呼んでいた・・・。
ふと、顔を上げると・・・光り輝く何かが・・・人ごみをまるで『モーゼの十戒』様にかき分けてこちらに向かってくるのが見えた・・・。
私には分かった・・・。
「八雲おじさん・・・。」
私はぼろぼろと涙を流しながら・・・その、街灯で光り輝く何ものかに向かって手を振った・・・。
『禿げた』頭に街灯の光を反射させつつ・・・八雲おじさんは、私の目の前で、いつもの様に、少しおどおどしながらも、私に言った。
「もう、心配ないからね・・・。」
そして、私の手を取ると、腰を屈めて背中を向けて言った。
「みんなはもう先にホテルへ戻ったからね。
あっちのゲートにタクシーを待たせてあるから・・・。
う~ん・・・やっぱりぬっくんは神だよねえ・・・。」
八雲さんはそう言うと、私をおんぶして歩き始めた・・・。
八雲さんの背中は、汗で湿っていた・・・きっと私を探すために走り回ってくれたのだろう・・・。
私は、何も考えることが出来なくて・・・時折感じる八雲さんの鼓動を感じながらいつしか眠っていた・・・。
最初のコメントを投稿しよう!