第1章

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「・・・遼子ちゃん・・・遼子ちゃん・・・。」   誰かが私の名前を呼んでいた・・・。 ふと、顔を上げると・・・光り輝く何かが・・・人ごみをまるで『モーゼの十戒』様にかき分けてこちらに向かってくるのが見えた・・・。   私には分かった・・・。   「八雲おじさん・・・。」   私はぼろぼろと涙を流しながら・・・その、街灯で光り輝く何ものかに向かって手を振った・・・。   『禿げた』頭に街灯の光を反射させつつ・・・八雲おじさんは、私の目の前で、いつもの様に、少しおどおどしながらも、私に言った。   「もう、心配ないからね・・・。」   そして、私の手を取ると、腰を屈めて背中を向けて言った。   「みんなはもう先にホテルへ戻ったからね。 あっちのゲートにタクシーを待たせてあるから・・・。 う~ん・・・やっぱりぬっくんは神だよねえ・・・。」   八雲さんはそう言うと、私をおんぶして歩き始めた・・・。 八雲さんの背中は、汗で湿っていた・・・きっと私を探すために走り回ってくれたのだろう・・・。 私は、何も考えることが出来なくて・・・時折感じる八雲さんの鼓動を感じながらいつしか眠っていた・・・。
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