第五章 Double Rainbow

55/72
前へ
/469ページ
次へ
◇ 菜々子をうつぶせにしてベッドに押さえつける。 散らばる髪を真ん中で二つにわけてわきに退け、うなじも背中もあらわにする。 菜々子の両手の甲の上から俺の両手をそれぞれ重ねる。指の間に俺の指を入れて強く握りしめる。 長い髪に執拗にキスを繰り返した後、うなじに唇を移動させると菜々子の背中がわなないた。 この真っ白い背中まで全部俺のものだ。 二度と背をむけることができないように、俺の印をお前に刻んでいく。 うなじ。肩。背骨。肩甲骨。菜々子の背に次々と小さな赤い花が咲いていく。 「菜々子……」  愛しさは時として凶器。お前が無自覚にさせる嫉妬で俺を煽るたび、俺は凶暴になる。 それはダメだと自分にブレーキをかけても、抱くときだけは凶暴な気持ちになる。菜々子がうつぶせにされることにとまどっているのがよくわかる。 「ナツ……どうして」
/469ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1004人が本棚に入れています
本棚に追加