第五章 Double Rainbow

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強がってみたって結局俺はお前に勝てない。 だから謝らない、と言いながらも俺はこんなに弱い声しかだせない。 「ナツの凶暴なんて……別にぜんぜん怖くないよ」 恋愛の天秤はいつでも俺が下。惚れている俺の負け。 凶暴だったと言われ、まさかと思うけど嫌われたんじゃ……と弱気になっているのは俺のほう。 でもそんなことを簡単に認めるほど、俺も角が取れているわけじゃない。 「俺はもっともっと凶暴になれるよ菜々子。お前が今度他の男に髪なんか触らせたら」 「ナツが悪い、よ。ナツはわたしのこと俺のだ俺のだ、って言うけど、ナツだってわたしのだもん……あんなに密着して気安く触らせちゃ、やだもん」 俺の腕に両手をかけてうつむき、泣き虫菜々子がまた涙をこぼした。 こぼれた温かい涙が俺の腕にかかる。 「菜々子ごめん」 お前の涙の前では、俺のつよがりなんて空気の粒子のひと粒に等しい。
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