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「いろいろわけがあった。ちゃんと説明するよ。でももうお前が嫌なら二度と合コンは行かない」
菜々子が身体をひねり俺のほうを向いた。
身体に巻いたシーツが斜めによじれて彼女を締め付ける。
きつい体制で無理に両腕を俺のわき腹に通し、俺を抱く菜々子。
「こうやってナツに抱きつくのが好き。ナツの腕の中が好き。ナツの顔が見えないのは不安」
うつぶせに押さえつけられて背中を愛撫されることにいつまでたっても慣れない菜々子。不安を感じる菜々子。
「背中攻撃されたくないなら俺の不安を無駄に煽るな」
「ずるいよ。わたしだって不安だよ……わたしだって……」
俺は菜々子の心細そうな瞳に本当に弱く、彼女の不安を少しでも解消しようと夢中でその細い身体をかき抱く。
愛おしさは時に凶器。
会えない日々を思うと、凶器が増幅し、胸を切り裂くようだ。
このままずっと俺の腕の中にいろよ菜々子。もうロンドンなんかに帰るな。
おどけていないと俺は、本当にお前を拘束してしまいそうだよ。
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