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◇
それから俺と菜々子はどうしたかって?
次の日から俺は菜々子をもっといいホテルや旅行に連れ出せたか、って?
それは……もう残念なことにぜんぜんムリだった。
頼みの綱にされていた俺が抜けた後のあの合コンで、他の三人が場を白けさせることなく、むしろめっちゃ盛り上げて、梨乃ちゃんからノートを無事に獲得してきてくれたのだ。
余談だけどあいつらはあの女子グループと本当に仲良くなって、今では俺も含め気軽に話もする。
もちろん俺に彼女がいることは承認済みになった。
追試前、俺はお詫びに全員分のノートのコピーを取り、梨乃ちゃんノートと同じものを用意した。
……というか、厳密に言えばその作業をやったのは菜々子だった。
あの合コンに俺ら四人の重要な単位がかかっていて、自分が乗り込んで行ったことにより、それがダメになったかもしれないと知った菜々子は蒼白になった。
まず一冊分のコピーをまとめ、後はわたしがやるからナツは勉強してよ、追試だなんて旅行どころじゃないでしょ、と言われた。
確かにその通りで俺は情けなくも菜々子の好意に甘えることにした。
傍らに、ひたすら俺の友達の分のノートのコピーを取る菜々子の気配を感じながら勉強するのは、なかなか悪くない気分だった。
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