第五章 Double Rainbow

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◇ おかしいよね。 あんな些細なことで嫉妬に狂っていた十九の私たち。 わたしはガラス越しの携帯エリアでナツに電話をした。 「ナツ、赤ちゃん生まれたよ」 「は?」 「えへ。産んじゃった。ナツに知らせると狂ったみたいに心配するから、黙って産んじゃった。女の子だったよ」 「菜々子お前……!」 「心配ない。母子ともに健康です!」 「もう……なんてことを……」 ナツの声が怒気を盛大に含んでいる。 出産直後のわたしを相手にそれを噴出させるわけにもいかず、必死にこらえているのがよくわかる。 「ナツっ。すぐルーフバルコニーに出てみて」 「は?」 「いいから早く」 スマホにかけてるからナツはそのままルーフバルコニーに出られる。
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