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◇
おかしいよね。
あんな些細なことで嫉妬に狂っていた十九の私たち。
わたしはガラス越しの携帯エリアでナツに電話をした。
「ナツ、赤ちゃん生まれたよ」
「は?」
「えへ。産んじゃった。ナツに知らせると狂ったみたいに心配するから、黙って産んじゃった。女の子だったよ」
「菜々子お前……!」
「心配ない。母子ともに健康です!」
「もう……なんてことを……」
ナツの声が怒気を盛大に含んでいる。
出産直後のわたしを相手にそれを噴出させるわけにもいかず、必死にこらえているのがよくわかる。
「ナツっ。すぐルーフバルコニーに出てみて」
「は?」
「いいから早く」
スマホにかけてるからナツはそのままルーフバルコニーに出られる。
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