第一章 君に触れたい

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「どうしたの? 菜々子そのかっこ」 先に帰ることは高宮さんに言ってあったから、こそこそ更衣室の隅で全くいつものカッコと違う服でメイクを直していると千夏が近づいてきて言った。 「千夏、声が大きいよっ」 「は~ん。デートってわけね?」 「う、うんまあそう。ちょっとわたし、気づかれないように裏口から出るから、あと頼むね」 千夏はわたしがナツとつき合うのは反対だった。 でも、キャンパスでナツが千夏に大声でもう自分の部屋には連れ込まないって宣言してから、それで、ちゃんとその約束を守ってるとこから、彼を信用してくれたみたいだ。
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