第1章

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何もない真っ白空間。そこに身をゆだねるかのように無気力なまま、ただ寝転んでいる。いや、寝転んでいるのかもわからない。今いるところが地面なのかそれとも空中なのかわからない。そんなことを考えていると、声が聞こえる。 ―――聞こえる? 聞こえるよ。誰だよあんた。 ―――私?私は神だよ。 あぁそう。神がなんの用だよ。 ―――そんなつっけんどんな態度とらなくてもいいじゃない。 神が拗ねんなよ。仮にも神なんだろ? その声は中性的であり相手が男なのか女なのかわからなかった。だが私と言い始めたときから、段々と女の声みたくなってきた。そして、神と名乗った癖に拗ね始めた。まるで、そこら辺の小学生みたいに。そのことにイライラし始めるが、まだピークではない。 ―――神だからって拗ねちゃダメって誰も言ってないもーん。 はっきり言ってウザイ。そう、思えてきた十一だが対応は一応する。 さっきも聞いたが、何の用だ?神。 ―――えーごほん。あなた、華岸 十一は死にました。そして、死んだ人の中でも幸運なことに、特別な力を授けて貰えて、更に異世界に行くことができまーす! 異世界か…… 十一は今でこそ普通通りな顔を保っているが、内心とても嬉しがっている。何故なら、特別な力が貰えるのだ。力を欲してきた十一にとってどれだけ幸福なことなのか、普通の人では測りしれない程に喜んでいた。どんな力をくれるのか。凄く楽しみである。神が異世界に送り込んだ人の中でもこの反応はおかしかった。異世界に行くことが目的ではなく。特別な力が目的というのは。だから、神は十一に贔屓をしたくなった。その普通通りな顔はどれくらい力を授ければ喜びに満ち溢れるのか。そして、その顔をみたいと思ったためだ。そして、神は十一の喜んだ顔を妄想し微笑むのだった。
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