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「うん。」
自分で発した言葉はあまりにも小さくて兄に届いたかわからかったが、扉が開いたことからちゃんと聞こえたのだろう。俺のところへ近づくと腰を下ろした。俺は寝たままだ。
「母さんに聞いたぞ。食べ過ぎでからかってやろうと思ってきたが、なんかずいぶんと弱ってんな。」
「うわ、さいてー。」
兄の言葉に俺は毒を吐くがこれもある程度仲がいい証拠だ。兄は俺の言葉に笑いながら頭を撫でてきた。俺の記憶にある限り頭を撫でられるなんて滅多になかったことなので、近づく手に咄嗟に目を瞑ってしまった。
「おお!サラサラじゃん!すげー。本当に女の子なんだな。」
「女の子にそうむやみやたらと触ったらいけないんだぞ。セクハラだ。」
「妹だからいいんだよ、こんくらい。ほれほれ~。」
「ちょ、やめ」
兄がくしゃくしゃと激しくしてきたので俺は静止させた。くしゃくしゃにされた髪もサラサラで別に癖がつく気配もない。女になったといってもここまで髪がサラサラになるものだろうか。
こうやってナチュラルに頭を撫でたりできるのも兄のいいところだ。家族のためにバイトもし、勉強もできて、彼女のための時間も作れる。そしてナチュラルな女ったらし。モテないわけがない。
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