学校始まるけど、生きる?

3/13
189人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
自転車だと10分かからない位なのだが、徒歩だと今の俺の速度で20分くらいかかる。悔しいが一人だと不安な気持ちはある。事実春休みが終わるまでの間で俺の体調が優れないことは多々あったからだ。母が過保護になるのも頷ける。 「「いってきまーす。」」 「気を付けるのよ。特に優姫。」 「はーい。」 今日はどうせ入学式とか教材配布で終わるだろう。兄は前日に始業式を終えていて、その時に一度学校まで歩いてみている。兄が歩く分にはなんともなかったそうだ。 「俺がいない時くらい自転車で通学すればいいのに。学校を休むことだって多くなるかもだし。」 「いや、自転車だとどんな建物があるか意識しないで通り過ぎちまうから。優姫が体調崩した時に休めるような場所がないときついだろ?」 「うっ。兄貴のくせに色々考えてるんだな。」 「男に気は利かせないが、女にはもう徹底的に気を利かせるようにしてるから。」 「うわ、さいてー。」 そんな冗談を言いながら俺たちは歩き出した。兄といるからか高校初登校もさほど緊張していない。女になってしまっての登校だというのに。話し相手がいるのって凄く心強いんだな。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!