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中学三年生……卒業式。
教室内では、友人との別れに涙する女子生徒。
写真を撮って笑いあう、男子生徒がいた。
その、教室の片隅に俺と、親友の浦川 ヒロがいた。
卒業証書を手に、机の上に座っている俺は、親友のヒロと話していた。
「皆との別れはやっぱ寂しいもんだね。でも、ヒロとは高校同じだから助かったよ!」
「いや。俺は対して嬉しくは無かったけどな」
「ええ。そ、そんな……。」
浦川はため息をつき、席を立つ。
俺は急いで帰る支度をして、浦川の後を追いかけた。
「ま、待ってよヒロ!さっきのって、冗談だよね?」
まだ、騒がしい教室を俺と浦川は出て行った。
「ねえ、ヒロってば!まだ皆いるんだよ?帰るの早くない?」
四階の教室から階段で降りている時に、浦川はいきなり足を止めた。
「あーあー。わかったわかった。さっき言ったのは冗談だ。そして、俺にもお前にも、別れを惜しむ友だちがいるのか?」
俺は浦川の質問に口を詰まらせた。
「……いない。」
俺の答えを聞いた浦川は、だろっと言って。
また、止まっていた足を動かし始めた。
そして、下駄箱で上履きから、革靴に履き替え三年間お世話になった学校に別れを告げる。
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