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彼女がわずかに身じろぐ度に、二つのメロンが上下に揺れた。
ゆさゆさではない。
ブルンブルンだ。
あまりの迫力に目が釘付けになってしまう。
「おいでなさいアルテミス!」
しかし俺の無躾な視線などものともせずに、金髪美少女は高らかに告げた。
右手を頭上に高く突き上げる。
バイ~ン!
反動でまたメロンが揺れた。
あぁっ! お胸様が……!
つい敬称をつけてしまった俺は、悪くないと思う。
「天使を召喚しやがったわね!」
そんな俺の真横で、忌ま忌ましげな舌打ちが響いた。
はっと傍らを振り返ると、頭上を睨むベルフレイアがいる。
その視線の先を追えば、雲の隙間から降り注ぐ一条の光が見えた。
メロンに目を奪われて気づかなかったが、金髪美少女が何かしたらしい。
光の中に目を懲らすと、何やら白っぽい人型の生き物を視認する。
その背中には、一対の白い大きな翼があった。
「あれが天使……?」
思わず疑問がこぼれ落ちた。
なぜならそれは、人型でありながら人ではなかったからだ。
飛翔しながらも風になびく事のない髪。
微塵も動かない表情は、微かな笑みを浮かべた形のまま固まっている。
神殿とか美術館とか、外国の噴水の傍に鎮座しているような、天使の石膏像が飛んでいた。
ホラーだ。
それらは硬質な翼で力強く空を叩きながら、ぐんぐん近づいて来る。
俺とベルフレイアの前に降り立った。
正確には、地面に突き刺さった。
スドドドド……!
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