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体重に重力と落下速度が上乗せされて、相当な重さになっていたようだ。
やはり生き物ではなく、動く石像という無生物だったらしい。
下半身がアスファルトの地面にめりこみ、俺達の周囲に石像の柱が林立する。
それらはぐりんと首を捩曲げて、一斉に強張った笑顔をこちらに向けた。
「ひィッ!」
やはりホラーだ。
気持ち悪い。
そして怖い。
あまりのキモ怖さに、引き攣った悲鳴が漏れる。
するとベルフレイアが立ち上がった。
数歩前に進み出ると、俺を庇うように石像達と対峙する。
「ダーリンは渡さないわ!」
硬い声音で気炎を吐くと、胸の前で拳を構えた。
「オホホホ……! その強がりがいつまでもつか、愉しみですわね!」
一人勇敢にも石像達に立ち向かうベルフレイアを、金髪美少女が嘲笑う。
「さぁアルテミスよ! 魔公女を叩きのめし、ギフターを確保しなさい!」
高らかに告げた。
その声を合図に、石像達が背中の石羽根を大きく拡げる。
ぎぎぎと音がしそうなほどにぎこちない動きで、ぱかりと口を開けた。
口腔内から虹色の光が溢れ出す。
口からビーム的なものを吐き出すつもりだろうか。
石像達の円陣の中心には、ベルフレイアだけではなく俺もいる。
このままでは、俺も巻き込まれる。
「お、おい! 何とかしろベル公!」
「まかせてちょうだい!」
俺は焦って眼前に仁王立ちする、ベルフレイアをせき立てた。
何しろ俺は普通の人間だ。
ベルフレイアや金髪美少女のような、不思議の国の住人ではない。
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