きっと第2話

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   平均的な男子高校生の身体能力しか持っていないのだ。  情けないとは思いつつも、自分の器を知っている俺はベルフレイアの華奢な背中に隠れる。  それを確認すると、ベルフレイアは目の前の石像群に突っ込んで行った。 「喰らえぇえええ~!!」  勇ましい雄叫びを上げて、振りかぶった拳を一体の石像に叩きつける。  ごおんと重々しくも、鈍い打撃音が響き渡った。 「……」  助走の余韻で浮き上がった長い銀髪が、ふわりとなびく。  それがゆっくりと、ベルフレイアの背中に着地した。  直後。 「ぎィいいやぁあああああ~~っ!!」  耳をつんざくような絶叫がほとばしる。  ベルフレイアの口から……。 「硬ぁッ! なんちゅー硬い体してんのよ?! バカじゃないのぉおお~っ!!」  真っ赤に腫れ上がった拳を抱えながら、もんどりうって倒れ込んだ。  そのまま、地面の上をのたうちまわる。 「拳がっ! 拳がぁああああ~っ!!」 「…………」  どうやら魔界の公爵令嬢はあてにならないようだ。  それとも、ホラーな天使像のスペックが高すぎたのか。  そうこうしている間にも、石像達の口腔には強烈な光が収束しつつある。  あれが一斉に吐き出されたら、どうなるか判らない。 「おい、ヤバイぞ! 何とかしろよ!」 「無理っ! 今のあたしじゃ勝てないわ!」 「じゃあどうするんだよ?!」  妙な争いに巻き込んだ挙げ句、早々に匙を投げたベルフレイアに怒りが湧く。  俺は噛み付かんばかりの勢いで詰め寄った。  するとベルフレイアは何を思ったか、ばたりと仰向けに倒れ込む。  アスファルトの地面の上に、大の字に横になった。
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