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直ぐさまそれは、耳を弄する爆発音に上書きされて行った。
五感がバカになる。
至近距離で浴びた爆音と衝撃に、全ての感覚が麻痺してしまう。
静寂が訪れた。
そしてじわりじわりと、触覚が舞い戻って来る。
体が重い。
腹の上に、漬物石を乗せられているようだ。
そして胸から鎖骨にかけて、他人の呼気を感じる。
何だろう……?
俺の疑問に答えるように、聴覚と嗅覚が息を吹き返した。
「ハァハァハァ……!」
鉄錆びにも似た異臭が鼻をつく。
自分のものではない、浅く早い呼吸音が聞こえる。
うっすらと瞼を開くと、霞む視界に銀髪が見えた。
「ダ、ダーリンのマウントポジションを獲ったどー!」
そして俺の腹に跨がりながら、腰を振るベルフレイアが見えた。
見上げた根性だ。
額から滝のように血を流しながら、ボロボロになったカーディガンを纏いながら。
それでも彼女は爛々と輝く紫眼で俺を見下ろしている。
「――元気そうだな」
「いいえ、正直もう限界……!」
俺の皮肉に即答したベルフレイアは、その言葉通りもう限界なのだろう。
興奮のためと言うよりは、体力の消耗によって肩で荒い呼吸を繰り返している。
そこへ追い撃ちをかけるように、高らかな哄笑が響き渡った。
「まぁ、なんてしぶとい……! さすがは魔族! ゴキブリなみの生命力ですわ!」
首を捩曲げて振り返ると、石像群の向こうに仁王立つ金髪美少女が見えた。
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