きっと第2話

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  「ですが次で終わりにして差し上げますわ!」  彼女はさっと右手を掲げる。  それを合図に、再び石像達が石羽根を拡げた。  ぎこちない動きで空を叩き、一斉に空に舞い上がる。  空中でぴたりと一度制止すると、ベルフレイアめがけて滑空をはじめた。 「チッ!」  真上で苦々しげな舌打ちが鳴り響く。  正面に目を戻すと、絶望に歪んだベルフレイアの顔があった。 「ダーリン逃げて!」  言い終わるや否や。  ゴッという鈍い音とともに、ベルフレイアの姿が消える。  一気に体が軽くなった。  腹の上にいたベルフレイアが、吹き飛ばされたからだ。  一瞬、何が起きたのか判らなかった。  怪訝に眉を顰めながら、辺りに視線をさまよわせる。  すると少し離れた場所で、頭から血を流しながら倒れている彼女の姿を発見した。 「さぁ、アルテミスよ! 魔公女を始末しなさい!」  地に倒れ伏したベルフレイアに、石像群が踊りかかる。  視界が硬質な羽ばたきの音に埋め尽くされて行った。
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