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「なんでっ?――なんでよ?! あたしのどこが不満だっての?!!」
無機質な事務所内に、ヒステリックな女の声が響き渡る。
「顔は可愛いし胸は小ぶりだけどスタイルはいいし、地位も名誉も財産もあるのよ?!」
そこには駅職員が一人と、調書をとる警察官が一人。
そして体格の良いいかつい風貌をした警察官が一人いた。
「そんなハイスペックな美少女が、好きな時に好きなだけやらせてあげるって言ってんのよ?!」
室内の中央にはスチール脚の長机が置かれており、それを挟むように俺といかつい警察官が腰かけている。
「こんな男の夢と希望とロマンがつまった、都合の良い女の何がダメだって言うのよぉおおう?!!」
ちなみに先ほどから男の夢と希望とロマンを打ち砕く発言をしているのは、銀髪に紫の瞳を持った絶世の美少女だ。
ただし裸エプロンだが。
彼女は悟りきった表情で麦茶を飲む、俺に向かって喚き続けている。
「言ってみなさいよ! あたしに不満があるなら言ってみなさいよぉおおおう!!」
無視され続ける事に耐え切れなくなったのか、とうとう彼女はブチ切れた。
屈辱だと言わんばかりの顔で掴みかかって来る。
俺はそれにふっと短い嘆息を漏らすと、麦茶のグラスを机上に置いた。
「まず、性格が無理だ」
そして菩薩のような穏やかな表情で、淡々と告げる。
「次に外見が好みじゃない」
「――――?!」
美少女が、はっと息を飲む気配が伝わって来た。
「そして非常識なヤツは嫌いだ」
「……ッ!!」
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