23人が本棚に入れています
本棚に追加
「君達、もっとお互いによく話し合った方がいいよ」
「若いからって意地を張っていたら、後で後悔する事になるよ?」
案の定、彼らは訳知り顔で諭して来る。
理不尽!
「今日はもういいよ、双方和解したって事にしておくから」
「いや、和解もなにも誤解しかないような気がするんですが?!」
面倒臭げに手を振る警察官に、追い立てられるように席を立った。
なにこれ、理不尽すぎる!
「もう周囲に迷惑をかけるような事をしたらダメだぞ?」
「いや、むしろ現在進行形で俺が迷惑をかけられてるんですが?!」
更に肩を押されて事務所から出るように促される。
明らかに厄介払いをされていた。
咄嗟に反論しようと振り返るが、鼻先でぴしゃりとドアを閉められる。
世の中理不尽だ。
深々とした嘆息とともに、がっくりと肩を落とした。
すると視界の端に、悪そうな顔で微笑む美少女が映る。
「やっと二人きりね、ア・ナ・タ……!」
その笑顔に擬音をつけるならば、ニヤリでなくニッチャリだ。
粘着質な笑顔を向けられて、俺の背筋に悪寒が走った。
振り切るように踵を返し、すたすたと歩き出す。
「あぁん、待ってよぉ!」
「ついて来んな!」
まだ半日も経っていないのに、体力と精神力が根こそぎ奪い取られてしまった。
今日はもう学校に行く気力すらない。
俺は自宅に帰るべく、下り列車のホームに向かう。
どうしてこんな事になったのやら。
最初のコメントを投稿しよう!