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しかも上目遣いだ。
しかもわずかに肩をすぼめて、胸の谷間を強調する仕草つきだ。
あざとすぎて殺意が湧いて来る。
「吊り革は他にもたくさんあるだろう?」
二の腕を掴む美少女を、殺意をこめて睨みつけた。
しかし言外に離せと言ったにも関わらず、彼女は身をくねらせながら拒絶を示す。
「だってぇ! 吊り革に手が届かないんだもぉん!」
ケツをぷりぷりとさせながら、今度は全体重をかけて俺の腕にしなだれかかって来た。
たわけ!
電車やバスの吊り革は、日本人の平均身長に合わせて作られている。
見るからに北欧系の美少女が、届かないはずはない。
「アリンコ種族ナメんなよ!」
「あだだだ……!」
反射的に吊り革から手を離し、その手で彼女の頭をわし掴んだ。
俺の五指が、この日二度目の全力を発揮する。
「すいませんすいません、調子乗りました!」
今朝からの鬱憤が、全て握力に変換された。
「今ミシッて! 頭がミシッて言いましたから!」
両手をばたつかせながら美少女が喚く。
俺の右手が超えられないはずの壁を超えてしまったようだ。
平凡な男子高校生が裸エプロン姿の美少女の頭をわし掴むという光景は、他の乗客の視線を集めてしまう。
だが今は気にならない。
気にしない方向で処理させていただく事にする。
そうこうしている内に電車が駅に到着したようだ。
微かな揺れにようやく美少女から手を離した。
俺はさっと踵を返し、さっさと降車して行く。
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