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げんなりとする俺を尻目に、二人の美少女は睨み合う。
「そこをおどきなさい、魔公女。あなたは霸源の器に相応しくない――身の程を弁えるのですね!」
「それはこっちのセリフよ!」
トレンチコートのポケットに両手を突っ込みながら、金髪の美少女が居丈高に言い放つ。
暑くないんだろうか。
季節感をまるっと無視したその装いに、当の本人もベルフレイアも全く疑問を抱くそぶりがない。
「見れば判るでしょう? わたくしこそが霸源の器に相応しい、美と教養を兼ね揃えています」
「何言っちゃってんの? 何勘違いしちゃってんの? どこからどう見てもあたしの方が可愛いし、百倍美人じゃない!」
「おやおや、教養が足りないと見ても判らないのですね。全く嘆かわしい……!」
「はぁあ? 勘違いもそこまで行くといっそアッパレなんですけどぉ?!」
金髪美少女の高圧的な物言いに、ベルフレイアも負けじと言い返す。
低次元な言い争いが勃発した。
「事ある毎に魔公女魔公女って身分を持ち出してさ! 自分は子爵位だからってやっかんでるのが丸わかりで滑稽なんですけどぉ! プスス……!」
ベルフレイアが先制攻撃とばかりに、心底バカにした口調で言い放つ。
それにはこれまで余裕の態度を貫いていた金髪美少女も、あからさまに顔色を変えた。
「魔族風情が生意気な口を……!」
褐色の美貌を屈辱に歪めながら、コートの衿に手をかける。
「これを見てもまだそんな口がきけるかどうか、見物ですね!」
次の瞬間にはばっとそれを脱ぎ捨てた。
「バカな……っ!」
驚愕のうめき声がこぼれ落ちる。
ちなみに、俺の口から。
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