きっと第2話

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   トレンチコートの下から現れたのは、褐色の肌だった。  それはもう見事に、一面の褐色の肌だった。  つまり、服を着ていなかった。 「メ、メロン……だと?!」  遅れて、そこにあるものを目にした衝撃が、じわじわとやって来る。  金髪美少女の胴体で、革命が起きていた。  丘とかお椀とか小山とかいう比喩では足りないほどの、絶峰がそこにあった。 「ちちレボリューション……」  俺の真横から、喘ぐような呟きがこぼれ落ちる。  傍らを盗み見ると、俺と同じようにあんぐりと口を開けたまま、二つのメロンを凝視するベルフレイアがいた。 「ほほほ……! これで判ったでしょう? 自分がいかに矮小で、無謀な勝負をしているのかが!」  金髪美少女が高らかに哄笑しながら、得意げに胸を張る。  その反動で、二つのメロンがたゆんと揺れた。  ものすごく重そうだ。  そしてなんて、堂々とした変態なんだろう。  呆気にとられてコートの前を全開にした、残念な美少女を眺め遣る。  目を逸らさなければいけないとか、むしろ目を合わせてはいけないとか言う、危機感や罪悪感が微塵も湧いて来なかった。 「ちくしょう! レベルが違いすぎる……!」  ベルフレイアが悔しげに歯噛みしながら、がっくりと崩れ落ちる。  え、そこ? 悔しがるところなの?!  むしろもっと他につっこむべき所があると思うんだが……。  一人狼狽して挙動不審になる俺は、先ほどから言葉そのものが出て来ない。 「もう少々お待ち下さい、ギフターよ。今すぐこの薄汚いメス犬を始末いたしますので」  そんな俺に、金髪美少女がたおやかに微笑みかけて来る。
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