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負の力に敏感なのは、多くの時間を負の空間で生きてきた証の様なものだ。ケイジの優秀さを物語る。そしてケイジは、柄から手を離すと、それにゆっくり近づき、他の『もの』もそれにあわせて警戒を解く。
そして彼は突如、その大きな、美しい碧眼で僕を見つめた。
「なんだよケイジ、気持ち悪い」
「お前にいつもされてることなんだけど」
「わかった、結婚しよう」
「経緯が意味不明すぎる!?……そうじゃなくてな、俺が聞きたいのはさ、お前そんな強かったっけ、ってことだよ。こいつは、本来パーティ集めてレイドレベルの戦力作らなきゃ倒せねえやつだぜ絶対。ゲリラ的に戦闘が起こる北の浮遊群島じゃ、こんなのに巡り合ったら誰でもおじゃんだろ。一体、何があったのか、思いあたる事はないか?」
真面目な顔をして質問するケイジ。僕は、顎に指を当てて考える。辺りが、またざわめき始めた。様々な憶測が飛び交っているのであろう……。
「……戦闘中は、特に何も無かったよ。といっても、昨日お前に話した通り、命からがらでさ、異常があろうがきっと僕は何も気づきやしなかった。もちろん、まともにぶつかりあったら勝てなかった……あんなの無理だ」
「しかし、この位強い概念負が、不意打ちだとしても、お前の紅い抜刀術一太刀浴びせられただけでぶった切られる程度のクオリティか?いや、お前の刀技の切れ味は確かに『特別』で俺たちじゃあ敵わねえ。だけど、流石にこいつは……」
「切れちゃったもんは切れちゃったんだよ……スパーんってね。僕だって、半ば決死の特攻に近くて、まさかこんなにとんでもない奴を切ったなんてこれを見るまで気がつかなかった。それに、あの時は本当に偶然、何もかも上手く体が動いてくれて助かったんだよ」
「おいおい底がしれねえな、お前の刀……。なぁ、その刀の威力を認めるとしてさ、他に何かないか?」
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