第1章

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5:50am パパとママは寝ている。 ミニチュアダックスのパコが 足にじゃれついてくる。 それを無視して私はリビングをぬけ キッチンへと入る。 整然と置かれているお皿の一番上の ガラスのコップを手に取る。 もういやだ。 なにもかもが、もういやだ。 溢れてきそうな涙をこらえて 裏庭へとでる扉を開ける。 朝の山は静かだ。 そのまますたすたと家から離れる。 コンクリート打ちになっている その場所までくる。 なにもかもが、いやなんだって! コップをめいっぱいコンクリートに打ち付ける。 粉々になったそれを見ても罪悪感は沸かない。 ていうか、かえってせいせいした気持ち。 破片を拾う。 1枚。 2枚。 3枚。 これだけあればいい。 あとは適当にあとでほうきで掃けばいい。 家の扉を開ける。 パパとママはまだ寝ている。 パパは昨日飲み会で帰ってきたのが 夜中の3時を回っていたし、 ママはいつも7時までは起きない。 静かに階段を上っていく。 パコが不安そうな顔をして私を見てくる。 大丈夫。 本気じゃないから。 自分の部屋へと戻る。 どれだけ散らかしてもママが片づけてしまうので、 部屋の中は綺麗だ。 パソコンの画面が青く光っている。 トーキンもプランも、 なんだかもう、飽きてしまった。 持って帰ってきた破片をキーボードの上に置く。 生中継なんて、そんな子どもみたいな事、 私はやらない。 やる時は静かにやる。
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