1, 俳諧

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   俳諧とは、複数の参加者がひと連なりの句を作る言葉遊びです。発句(ほっく)と呼ばれる最初の句「五・七・五」に対し、「七・七」を詠み、以降、意味を繋ぎながら繰り返します。  たとえば、芭蕉と弟子は、こんな俳諧を残しています。  ―さる男 かねにほれたる 秋更けて  (ーー(訳)金目当てに、女性と付き合おうとしている男がいるよ……/芭蕉)  ―うずらの床に しめころし鳴く  (ーー(訳)女性を喜ばせようと、草むらで声を殺して、抱き合っているよ……/弟子)  このように、俳諧の本質は「滑稽」。おもしろくて、少々皮肉混じりのものとして詠まれていました。 因みに、俳句は、明治時代に、正岡子規(まさおかしき)が、俳諧の冒頭の発句を独立させたものとされています。  俳諧の愉しさにすっかり魅了された芭蕉は、たゆまぬ努力で、才能を磨き続けます。そして芭蕉29歳の時、安定した武士の身分を捨て、俳諧で身を立てることを決意しました。故郷を離れ、俳諧の中心地だった江戸へ行きます。そこで、芭蕉は、またたくまに頭角をあらわし、俳諧の先生である「宗匠(そうしょう)」となります。  しかし、芭蕉は、この成功の一方で、苦悩していました。   
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