序章

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 彼は一年生ながらも、ちゃんと風紀委員として役割を自覚している。  この学園の特性上、風紀委員は全生徒の模範となり抑止力にならないといけない。象徴的な生徒会とは違い、俺達は実働的に風紀を乱す者を許しておくわけにはいかない。  完璧な上下関係。きめ細やかに立てられた作戦。以心伝心のごとき連携。ーーそして磨き抜かれた武力。  支給された軍服に似た特殊制服を着用していることに誇りを持って、俺達に敗北は許されない。そうして今日も校内の平和は守られ……。 「なっ……」  俺は目を疑った。  部屋の前に待機しているハズの突撃隊がどこにもいない。編成時には十数人はいたハズだが。 「村上君。これは一体……」 「ぼ、僕にも見当がつきません」  困惑した表情をする村上君。明らかに動揺しているその様子から見ても嘘をついてるように見えないし。 (嫌な予感がする)  不用意に開いた扉がまるで入って来いと言わんばかりだ。
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