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腕を思いきり振って投げた直球は、人生で最高の球だったことを覚えている。
縫い目に掛った指はしっかりとボールに回転を伝え、伸びのある直球。
加速しているとも思わせる球はキャッチャーミットへ走って行った。
重田は、バットを振りぬいた。
とんでもないヘッドスピードだった。
待っていたのだ。
この直球を。
ボールはバットの真芯に叩き付けられる。
打球が高々と上がった。
風の無い球場を、白球は横切っていく。
青い空に上がったその球を、賢介は無心で見上げた。
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