夏の終わり

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ヒグラシの鳴き声を、縁日の喧噪がかき消している。 比較的静かな苔のむした石段を登ってはじめて気が付いた。 少し伸びた坊主頭を汗が伝う。 適当な所で石段に腰かける。ここならだれも来ない。小さいころからのお気に入りの場所だ。 一人静かに、花火大会を楽しめる。 じっとその時を待っていた賢介は、楽しみでもあり、少し寂しくもあった。 ようやく日が傾き始める。もう午後7時半だが、まだ腕のこんがりとした日焼けが判別できる程度には明るい。 膝を抱え、夕暮れの空を眺めた。 空を飛ぶカラス。 ふと、数週間前の出来事が脳裏を走馬灯のように駆け巡った。 高校最後の大会のことだ。 ――
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