0人が本棚に入れています
本棚に追加
野球に真摯に取り組もうとしていた。
高校三年生になり、最後のシーズンを迎えた。
二年生のエース・浩二の影に隠れ、二番手ピッチャーとして甘んじていた賢介は、エースの座奪還を目指し、生活すべてを野球に注ぎ込んでいた。
休日返上で投げ込み、走り込み、隙間時間も利用して体をいじめ尽くした。
仲の良かった彼女、早苗とも別れた。
一緒にいられないことを話すと、泣くかな、と思っていたが早苗は寧ろ笑顔でエールを送ってくれた。
賢介の方が泣きそうになっていたが、背中を向けることで顔を見られることを回避した。
それからというもの、より一層自分に厳しい日々が続く。
しかし夏が始まっても、二番手の座は変わらなかった。
最初のコメントを投稿しよう!