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強豪校では無かったが、着実に力をつけており、練習試合でも結果を残しつつあった。
コントロール抜群・エースの里崎浩二、俊足強肩のセンター斉藤義行、強打好守のショート大田敬之、頼れる4番キャプテン・サードの柴田大貴と駒も揃っていた。
本気で甲子園を目指していた。そしてそれは近くまで来ていた。
県大会3回戦。県内強豪の一角、私立安島学園との試合だった。
県内最高と言われる安島学園のピッチャー、鈴木俊哉をじわじわと攻略し、9回で5点を奪った。
野手陣至上最高の出来だった。
守備もよかった。
得点直後の裏、一死一三塁のピンチ。
センターへ抜けるか、という速い打ゴロを敬之が飛び込んで押える。
素早くセカンドに託し、ファーストへの送球もアウト、ゲッツーに仕留めるファインプレー。
守備でもリズムに乗っていた。
賢介は野球が楽しくてしょうがなかった。
大声を上げ、水をチームメイトに配るしかできなかったが、一体感のあるベンチにいるだけで楽しかったのだ。
9回を迎え2対5とリードで迎え、ナインは勝利の時を待った。
しかし、甲子園のマモノはこの地方のグラウンドにも潜んでいたのだ。
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