夏の終わり

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一死満塁だった。 すでに140球を投げていた浩二は疲労していたが、志願して登板した。 完投勝利まであと少し、さらに言えば、安島学園のナインは浩二を攻略しきれていなかったのだ。 8回二失点のうち得点はソロ本塁打2本のみ。打線がつながった得点は一つもない。 監督は背中を押して浩二をマウンドに送った。 そして賢介に肩を作るよう指示を出した。 浩二はロジンを強く握り、マウンドに落とした。 キャッチャーのサインに首を縦に振り、セットポジションで構える。 打者にバントの構えは無い。 内角低めに鋭い直球が走る。 打者は腕を上手く折りたたみ、打ち返す。 速い打球はピッチャーを強襲した。
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