夏の終わり

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褐色に焦げた腕を振り、内角高めに直球。 見逃した球はストライク。 カウント0-2。 二球で追い詰めた。 三球目、外角にまあまあのスライダーを放り込むと、身体を流しながら空振り。 三球三振だった。 グラブを叩いた。 燻ぶっていた三年間ではない。 直球だけじゃないんだ。 敬之がショートから指をさす。 賢介も指をさして返した。 二死一三塁、安島学園の誇る主砲、キャッチャーの重田貴志が打席に着く。 満塁策のサインは無い。この後の5番打者はチャンスに強く今日2本塁打と絶好調の坂本だった。 ここで勝負するしかない。 100球ボールを受け続けている重田に握力は残っていないだろう、そういう算段もあった。 賢介の頬に一筋の汗が流れる。
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