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オレは、
嬉しそうにはにかむ美空を見て苦しかった。
あとどのくらい生きられるかわからない中でも嬉しそうな顔を浮かべる美空。
きっと、
オレが想像している以上に苦しいはずだ。
「雄輔、
練習しようぜ」
キャッチャーの晴輝が声をかけてきた。
「あ、
あぁ…」
オレは向こうで監督と話している美空を見ながら返事をした。
「なぁ、
雄輔」
晴輝が言った。
「ぶっちゃけお前、
沢野(美空のこと)好きだろ」
キャッチボールをしながら、
聞かれた。
「別に。
小さい頃から一緒にいたから、
なんかほっとけなくて」
強がるなよ。
オレの中の理性が告げた。
そしてきっと、
晴輝も気づいているだろう。
「そうか?沢野、
お前といるとき楽しそうだぞ?羨ましいよな~」オレは笑った。
でも、
美空の秘密を知っていたせいか、
心になにかがのし掛かっていた。
確かに美空はかわいいし、
性格もいい。
おまけにスタイルも抜群だ。
でも、
美空の秘密だけは守りたかった。
「雄輔、
考え事か?」
「…いや、
別に…」
そう答えたはいいが、
実は考えていた。
体が弱いがために、
病に侵された美空のことを。
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