2人が本棚に入れています
本棚に追加
「雄輔」
オレを呼ぶ声がした。
聞き心地の良い、
柔らかな声。
「どうした?」
美空は少しうつむいていた。
が、
覚悟を決めたのか顔を上げた。
「私、
明日から入院しないといけないかも。
主治医の方が、
容態が悪化しないためにも早めにしたほうが良いって言われたから」
オレは解答に詰まった。
確かに予想してたこととはいえ、
甲子園に連れていくという約束を果たせない気がしたから。
「わかった。
体悪くするなよ。
そして、
甲子園の前には戻ってこい」
オレは笑顔を向けた。
それは精一杯の笑顔だった。
そして翌日から美空は入院することになった。
最初のコメントを投稿しよう!