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「王様と暮らすの?」
「ああ」
「何それ。無理に決まってんじゃん」
「何故だ」
本当に分からないという顔をする王に、ユサはぷくっと頬を膨らませた。
まじで何なの、この王様。
「俺と王様わぁー住む世界が違うのー。俺は裏の人間、王様はこの国で一番偉い人でしょー?」
「それがどうした。何も問題はない」
「大有りでしょ!王様が暗殺者と暮らしてるなんてバレたらどうするの!民の反感どころかお仲間さんにも反感持たれちゃうよ!」
「この国では俺がルールだ」
なにこの人
そーゆー問題じゃないんだけど
口をあんぐりとあけるサシャに、王はキスをしようと口を近づけた。
「ちょちょちょ、っ何しようとしてんの!」
「キスだが」
「ハァ!?いきなり何なのマジで!」
「お前が口を開けて誘ったんだろう?」
「誘ってないし!あんたに呆れて思わあず口が開いちゃったんだよ!」
もう話してるのすら阿呆らしいと、ユサはその華奢な身体をベッドに沈めた。
その途端
真面目な顔をして覆いかぶさってきた王に、ユサは片手をあげて制止する。
「疲れて横になっただけだから!誘ってないから」
「..残念だ」
静かな沈黙が訪れた。
少しして、王が静かに口を開いた。
「ユサ、俺は本気だ。本気でお前と暮らしたいんだ」
真摯なその姿に、思わずユサの顔が赤くなる。
皆には冷徹だと恐れられてるくせに、変なところで天然で可愛くて、格好いいのだこの王様は。
「..無理だよ。王様は知らないと思うけど、俺は、お金のためなら何でもするよ?暗殺だけじゃない。誰にでも抱かれるし、抱くよ」
「別に良い」
「何が良いの?もしかして王様も俺を抱きたいとか?俺で性欲処理したくなった?別に王様なら俺じゃなくても自分から抱いて欲しいっていう人いるでしょ?」
自分でいって、何故か胸のあたりがぎゅうっと痛くなった。
なにこれと、胸に手を当てる。
王様が誰かを抱いているところを想像するだけで、その相手を殺してしまいたいと思う自分がいた。
「確かに俺はお前を抱きたい」
「..っは。...良いよ、お金くれるなら抱かれてあげる。しゃぶっても舐めてもあげるよ?マニアックなのだってできるよ、俺」
「ユサ」
咎めるような王の声に、ユサは口を噤んだ。
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