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「申し遅れました。私はセシール・ティレニアと申します」
目の前にいる日本人ではあり得ない色の地毛と瞳。潤った唇と長いまつ毛の持ち主に、テレビや本でしか見たことがない宮殿のような建物に自分がいることを忘れてしまう。
女の人が何か話しているけど、僕にはおとぎ話を聞かされているような気分で、全然頭に入らなかった。
「勇者様のお名前を教えてもらえないですか?」
ようやく、自分が女の人に見とれていたことに気がついた。
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