鬼の面

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俺の住む村にはある風習があった。それは二十歳になった男女、五人ほどが囲炉裏のある家に集まって一晩を過ごすというものだ。俺の生まれた場所は人里離れた村だったから、そういった風習もなんかも多く残っていて、それもその一つだった。村に住む腰の曲がった白髪のバー様によると、これはこの土地に住む神様、土地神様に二十歳になったことを報告と、この土地で生まれ、育ったことを感謝するというものだった。その話を聞いていたとき、俺はバー様に、 「ならさ、祭みたいにパーッとみんなですればいいじゃん、ほら、成人式ってやつがあるだろ? それみたいにさ、とーちゃんやかーちゃん、親戚のじじいやババアなんかもさ、もちろん、バー様もな」と言うと、古ぼけた杖でバー様にコツンと頭を小突かれ、 「馬鹿者め、これは土地神さんと、お前らしか立ち会えん、他の者が居るとうまくいかんからな」 とバー様に言われ、友達にもバカだなと笑われた、まぁ、そうなんだけれどな、この儀式は一年の間でもけっこう大切で、大人達もピリピリしている。俺はそういった雰囲気が嫌いで言ってみたんだけれど、もう一度、小突かれたくないからそうだなーと笑った。 そして、その夜、俺達は囲炉裏を囲んで、酒を飲んでいた。二十歳になるということは酒が飲める。飲み慣れない酒の苦さに驚きながらも、ほろ酔い気分になる、その勢いで俺達、四人で風呂に入る。混浴だなんだと騒ぐけれど、村民の俺ら同年代の俺たちはガキの頃には一緒に入ることもあったから抵抗もないだろうと思っていたが、やっぱり恥ずかしい。ほろ酔い気分だったせいにして誤魔化した。 「酒は飲んでも、飲まれるなってのはこのためにあるのかもなー」 とボヤくと、 「そんなわけないでしょ、このドスケベ太輔」 玉城太輔(タマキ、タイスケ)と俺の名を呼ばれる。そこには顔をほんのりと赤く染めた、綾野万里子(アヤノ、マリ)がポコッと俺の頭を小突く、彼女は混浴はただ一人いやがっていたが、俺たちで無理矢理、引っ張り込んだのだ。 「いってーなー、そんなポコポコ叩くなよ。俺の天才的な頭脳がおかしくなったらどうすんだよ」 「ふんっ、そんなのあるわけないでしょ。いっつもエロいことばっかり考えてるんだから、いっつも軽口ばっかり」 「んだとー」 「まーまー、そう言うけどよ。万里子は胸がデッケーことを気にしてるだけだし、あんま責めてやんなよ
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