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次の日、朝練と言うより自主練をやりたくなった俺は朝早く家を出て学校に向かった。
誰もいない。
俺は静かな教室で準備していると、糸井と仲が良い女子が来た。
大谷知亜、それが彼女の氏名。
俺が話し掛けようとすると彼女から話し掛けてきた。
「おはよう。希飛。」
はっ?いきなり、呼び捨てかよ…。
「あ、おはよう…。」
「知亜でいいよ。」
知亜は笑顔で言った。
「ね、希飛さ、香恵の事フったんだって?…まったく、香恵は泣かなかったけど、ショック受けてたよ。」
ああ、またそう言う話かよ…。
「でもよー、好きでもない奴となんか付き合えるか?」
「まあ、そうね。てか希飛は好きな人いないでしょ?」
っ…。なんかコイツに言われると何というか、胸が苦しい。
まさか…。嘘だろ…?
俺はわかってしまった、これが恋だと…。
つまり俺は初恋したんだ。一目惚れしたのだ。大谷知亜と言う彼女に。
そんな気持ちを抑えて、俺は彼女を見つめた。
「い、いる!!」
まあ、オマエなんだけど。
知亜はそんな事には気付きもしない。
「ふーん。いるんだ。あ、香恵がなんでサッカー部のマネージャーに入ったか知ってる?」
「えっ?」
「それはね、希飛が1年生からずっと好きだったからなんだよ。」
「そうなんだ…。」
俺はいつもこう言う事を言われる。
「じゃ、部活だからそろそろ…。」
「あ、ああ。そんじゃ。」
俺たちはこの朝から仲良くなった。
***
知亜は吹奏楽部に入ってる事がわかった。
音楽室は2階だが、校庭に面している。
俺は、練習の休憩の時には必ず音楽室を見るようにしている。すると、たまに知亜が気付いて手を振ってくれる。
「あれ?希飛、なんだー?」
でも、雅樹が黙っていない。
「何が?」
それに答えると、雅樹はニヤと笑って言う。
「オマエも、とうとう目覚めたか。」
そして、どこかに行ってしまう。
糸井香恵とは会釈をはしたり、ちょっとした会話をしたりはする。
でも、俺と知亜が仲良くなるにつれて、雅樹と糸井も仲良くなっていった。
***
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