1人が本棚に入れています
本棚に追加
電話を斬って走る。
「ハア…ハア…」
しばらく走って、目の前に引越しトラックが見えてきた。
間に合った…。
そこには、糸井、雅樹もいた。そして、大好きな知亜もいた。
3人とも泣いている。いや、雅樹は涙をこらえている。
今日、知亜が引越す。知亜は俺に気付いて走り寄ってきた。
「希飛、ありがとう。…うっ…もっと一緒にいたかったよ…」
鼻をすすって笑顔でいようとする。
知亜は茨城県に引越す。俺もつられて涙が出てきた。
「また、一緒に遊園地行こうな。…きっと、いつか。」
やっとのことで、ここまで言い終わった。
「希飛、絶対に他に彼女つくらないで!!」
えっ!??知亜の口から意外な言葉が出てきて、俺は目をパチクリさせた。
でも、だんだん理解出来て顔を赤くしてうなずいた。
「…わかった。」
俺たちは、しばらく見つめ合っていた。
でも、すぐに。
「知亜ー!!行くよー!!」
知亜の母さんが呼ぶ。
知亜はもっと涙を流した。最後に小さな紙を俺に渡して言った。
「今まで本当に、…ありがとう…またね、」
「ああ、またな…」
俺と知亜は涙を流して笑った。
10月3日、雲1つない青空だった。
最初のコメントを投稿しよう!