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「おーい、希飛。」
「何?」
いらないほどデカい声で呼ぶ雅樹。
「部活行こうぜ?」
「1人で行ってろ。」
まだ、準備が終わってない俺は雅樹からの誘いを切り捨てるつもりだった。
だが…
「…ヤダ。待ってる。」
「ハア…。 じゃあ勝手にしろ。」
「!!じゃあ、待ってる。」
「わかった。」
雅樹は、いつもよりしつこかった。
***
結局雅樹をしばらく待たせてから、俺たちは部活に向かった。
「-…パス練習始めろ!!」
先生の声で一斉に練習を始める。
俺は雅樹とペアを組んでやることにした。
ポン、ポン…
暑い校庭にボールの音が響く。
「…なあ、希飛。」
いきなり雅樹が口を開いた。
「なんだよ。」
「あ、あのさ。」
「うん。」
「好きな人いるか?」
「はあ!!??」
好きな人…?そんなのいない。
俺は中学2年になった今も恋をしたことがない。
それに興味がない。
「…いないけど…。 えっ!!?オマエいんの?」
「…う、うん。」
雅樹が顔を赤くしてうつむいた。
「だ、誰だよ!!」
「えっと、あのマネージャー…」
俺は雅樹が指、指す方を見た。
ああ、糸井か…。
サッカー部のマネージャー。
見た目は、色白で清楚な感じで絶対にサッカー部のマネージャーなんて全然合ってない。
「…へえ、糸井香恵か。」
「おい!!普通に言うなよ!!!!!!」
「え?」
「き、聞こえたらどーすんだよ!!」
「あ、悪りい。」
「…応援…、」
応援?なんの?…ああ、恋か。
「いいぜ。 頑張れよ」
「…さんきゅ、」
恋か…。なんなんだろう…。
俺は恋をした事がないが、告白されたはある。
***
「…林くん…、」
ん?誰だ?
「何?」
「あ、あのっ!!! 好きですっ!!」
「…ありがとう、でもゴメン…。」
だって知らないし、アンタの事。
「…うっ…」
はあ、泣いちまったよ…。
***
こうやって、泣かせてしまうから俺は、いや。俺は女子は泣くから興味がない。
、面倒くさい。
ポツン…。
あ、雨じゃん。
「おーい、皆今日は雨が降ってきたから帰っていいぞ!」
えー、マジかよー部活なくなんのか。
まったくよー、朝は晴れてたじゃないかよー。
それに傘持って来てねーよ。
俺たちは気乗りしないまま校舎へと戻って行った。
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