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12時を回ると
社外に食事に出る人がちらほらと前を横切る。
「お昼行ってきていいわよ
リードの渡瀬様は私が応対するから」
「小川さん、それはないですよー
私もその人見てみたいですもん
たとえお昼の時間が減っても!」
そう明るく笑うこの子…
長濱さんは
私と違って一流大卒のストレート入社だ。
だけど自称勉強バカな彼女は擦れを知らなくて
私はつられてふっと笑うと、
「なら上へは私が案内するから
あなたは内線を頼むわ」
「ああ!ありがとうございます
エレベーターで二人だと絶対に間が持ちま……」
そこで言葉が切れた彼女の視線を追うと
外へ出る社員に逆らうように
自動ドアをくぐる人が瞳に映り込む。
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