出会い

5/31
前へ
/80ページ
次へ
12時を回ると 社外に食事に出る人がちらほらと前を横切る。 「お昼行ってきていいわよ  リードの渡瀬様は私が応対するから」 「小川さん、それはないですよー  私もその人見てみたいですもん  たとえお昼の時間が減っても!」 そう明るく笑うこの子… 長濱さんは 私と違って一流大卒のストレート入社だ。 だけど自称勉強バカな彼女は擦れを知らなくて 私はつられてふっと笑うと、 「なら上へは私が案内するから  あなたは内線を頼むわ」 「ああ!ありがとうございます  エレベーターで二人だと絶対に間が持ちま……」 そこで言葉が切れた彼女の視線を追うと 外へ出る社員に逆らうように 自動ドアをくぐる人が瞳に映り込む。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10085人が本棚に入れています
本棚に追加