10085人が本棚に入れています
本棚に追加
「…小川さん、どうかしましたか?
今日はぼんやりとしていますよ」
「え? そう?」
窓の外を眺めていた私は
その言葉に居直すと背筋を伸ばす。
「夜更かしでもしたんですか?」
「…まぁ…、そんなところね
それより…」
曖昧に誤魔化しながら
時計に目を向けようとした時、
こちらへ向かってくる人に気付いた私は
にっこりと笑って席を立った。
「本日11時にお約束していました
田中薬工業の南です
経営企画課の鈴木様をお願いできますか」
「南様 お待ちしておりました、
エレベーターで7階へどうぞ」
軽く一礼をするその人に頭を下げ、
すぐに内線ボタンを押す。
「経営企画課の鈴木様、
田中薬工業の南様がお見えになりました」
簡潔に連絡をして
アポイント予定表にチェックを入れると
また来客を待つ
この流れの繰り返しが私の主な仕事だ。
最初のコメントを投稿しよう!