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「ミッツ、早いねー」 あたしが帰り支度を終え、控え室から続く従業員通用口のドアに手をかけた、まさにその時。 美紀さんと、その後ろに若先生の姿。 「あ、お先に失礼します」 キッパリと言い切って、あたしは急いでるんだよオーラを出しまくってたはずなのに。 「折原さん、帰っちゃうの?」 ……今の心地よく響いた声の主。 言わずと知れた、大武先生。 後ろ髪引かれてやんの、だっさ。 「お疲れ様でした」 若先生の背中からひょこっと顔を出した大武先生。 早く帰りたいんなら足を前に出せ。 立ち止まるな!あたし! 脳内で自分を奮い立たせてドアを開ける。 「今から飲み行くんだけど」 「ミッツも行かない?」 大武先生と美紀さんが追い討ちをかけてきた。
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