ミツのあじ second ver. 第1話

１

手のひらの携帯を見つめる。

「…ちょっと、いきなり切ってんじゃないわよ」

そう呟いてはみたものの。

大武も、一緒。
大武も、一緒。
大武も、一緒。

ソコだけ特にストレスがかかってて。
あたしの脳ミソ８割？を占めた。

あたしの足は『サンロ』へ向かう。

サンロは山口さんというちょっといかついお兄さんの経営するバー。

あたしの家から徒歩10分くらいのところで

要するに今帰ってきた道を戻り、コンビニを越えて、ジムにたどり着く迄にあるお店だった。

「今通って来たじゃん」

さっき買ったゼリー飲料とサラダをバッグに押し込んで

そこで、はっ、と気付いて立ち止まる。

「行くわけ？」

返事も聞かない、上司の誘いにホイホイと。

大武、というエサに釣られてゆくのかと。