3689人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ?」
あたしは落胆と驚き、そして脚のダルさに耐えられなくなって若先生の横に座る。
「ぐったりです…」
前からスッと出されたコースターと美味しそうな白いクリームがのった黄金色の液体が目の前に現れる。
「お疲れ」
山口さんはいつもあたしにこう言って一杯目を出してくれる。
「山口さん、こんばんは」
山口さんは軽くひと笑みして、前から離れた。
ぐったりだけど、あたしの疲れた体と乾いた喉は目の前の液体をすごく欲していた。
「先生、とりあえず乾杯」
勝手に口走り、ごくごくと半分位を飲み干す。
「きゃーん、おいしーぃ」
「やっぱビール最高」
「汗かいた後はたまりません」
あたしは一気に感想をまくし立てた。
「汗かくなんて、何やってたの?」
後ろから聞こえたテノール。
横では涼しい顔でニヤリと笑う悪魔。
あたしは油の切れたブリキの人形みたいにぎこちなく首を回す。
「折原さん、こんばんは」
にこやかに笑う大武先生がいた。
最初のコメントを投稿しよう!