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「はぁ?」 あたしは落胆と驚き、そして脚のダルさに耐えられなくなって若先生の横に座る。 「ぐったりです…」 前からスッと出されたコースターと美味しそうな白いクリームがのった黄金色の液体が目の前に現れる。 「お疲れ」 山口さんはいつもあたしにこう言って一杯目を出してくれる。 「山口さん、こんばんは」 山口さんは軽くひと笑みして、前から離れた。 ぐったりだけど、あたしの疲れた体と乾いた喉は目の前の液体をすごく欲していた。 「先生、とりあえず乾杯」 勝手に口走り、ごくごくと半分位を飲み干す。 「きゃーん、おいしーぃ」 「やっぱビール最高」 「汗かいた後はたまりません」 あたしは一気に感想をまくし立てた。 「汗かくなんて、何やってたの?」 後ろから聞こえたテノール。 横では涼しい顔でニヤリと笑う悪魔。 あたしは油の切れたブリキの人形みたいにぎこちなく首を回す。 「折原さん、こんばんは」 にこやかに笑う大武先生がいた。
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