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「あ"―――!!!!」 あたしの声は病院じゅうを駆け巡り戻ってきた時には従業員みんなが顔を覗かせる始末。 「な、なに、何?ミッツ、どしたの!?」 美紀さんが落としたカルテを拾いながら聞く。 「蜜ちゃん、ビックリしたよ」 患者さん達は普段ない事だけに、心配そうに声を掛けてくれた。 「どしたの、折原さん」 「忘れ物?」 みんながみんな心配してくれる。 そんな中、あたしの間抜けな顔具合をグサリと指摘する一言が。 「折原さん、綺麗なお顔が大変ですよ」 若先生が、あたしのあんぐり開いたままの口を指摘する。 「………」 ハッと気付いて羞恥のど真ん中にいる事に顔を赤くした。 「ごごご、ごめんなさぃ………!」 な、何でもないんです! と、大きくかぶりを振りながらあたしはカウンターの中でしゃがみこんだ。 ドキドキ、とすごい勢いで打つ心臓。 まるで目の前にあるかのように大きく拍動を感じる。 「ミッツ、だいじょぶ?」 美紀さんは尚も心配そうにあたしの横にかがみこんだ。 「す、すいま、せん」 「何、どした」 い、言えない! 言えるわけない!
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